東坂茶園さま

ひと口飲んで、
ふわりと広がる、
楽しさと夢。

視界を遮るものが何もない、一面の茶畑の中を東坂さんの軽トラックが駆け抜けていく様子はまさに夏休みの原風景。東坂茶園さんは3代にわたり、この長崎県東彼杵町の地でお茶を栽培しています。案内していただいた茶畑の葉が、一斉にピンと空に向かって伸びている様子に、「もうすぐ満月だからですね」と言う東坂さん。今でも現役を続ける先代の父とともに、茶の樹と対話を重ねながら、新しい試みを行っています。

特に、近年ファンが絶えない柚子や橙をブレンドしたお茶たちは、東坂さんが絶大な信頼を寄せるオーガニック柑橘農家さんとともに、1年間の試行錯誤の末に生まれた努力の賜物。

東坂さんに淹れていただいた橙ほうじをひとくち含むと、ふんわりと体じゅうを駆け巡る甘さと、爽やかな橙の後味が絶妙で、ホッと一息つく時間に。果実皮と茶、その配合の黄金比を見つけるまで、なかなか時間がかかったと東坂さんは言います。

そんなお話を伺っていると、有田の「国産発酵茶専門店・喫茶 紅と香」さんのスタッフの方に偶然お会いすることができ、和気藹々とした楽しいお茶会に。「東坂さんの柚子ほうじは本当に人気ですよ!」と、その日も仕入れに来られていました。

元々は大好きなサーフィンがしたくて、時間の融通が効く茶農家を継いだ、という東坂さん。先代のときから使い続けてきた製茶機を数年前に一新し、製造ラインを通して、自宅脇の製茶工場は生まれ変わったばかり。少しずつ仕事を手伝い始めたという3人の息子さんたちとともに、夢は膨らんでいくばかり。東坂さんの笑顔を見ていると、私もワクワクしてくるのでした。

鈴の茶より、感謝を込めて。