素敵な方には、
素敵なお茶が。
静岡で人に出会うたびに思うことは、穏やかな方だなぁっということ。明るくて、元気で、名物なんとかさん。みたいな方とはまた違って、なんだかじわっと後からも思い出して、「素敵な人だったなぁ。」と感じることが多いです。
岩崎功商店の社長 岩崎正樹さんは、静岡茶商工業協同組合の理事長をされており、長男の岩崎勇磨さんも静岡市の青年団などで茶業界を牽引すべく尽力されていらっしゃいます。このお二人の何気ないやり取りの穏やかさに、驚いてしまいました。決して他人行儀ではないものの丁寧な言葉をチョイスして話され、自分の意見は伝えつつも相手への敬意も見せるやり取りに、見ているだけで幸せな気分になり、素敵な親子だと感じ入りました。
よくお茶に対して、作られた農家さんの人柄が、お茶にも現れているなどど言われたり、私自身も思うことがあります。これは、製茶問屋さんにも言えるのだと思いました。岩崎功商店さんには、誰にでも扱えるものではない宝のようなお茶があったり、聖地のような素敵な場所で作られたお茶があったり、そんなお茶が集まるのは、やっぱりお人柄が呼び寄せているのかもしれないと思ったのです。
鈴の茶の「本山茶伝統の浅蒸し」は、温暖な静岡では珍しく、冬は雪もつもるほど過酷な地域の梅ヶ島でできたお茶です。寒い冬を乗り越えるために養分を蓄えた茶葉を、丁寧に一枚一枚手摘みされたこのお茶は、是非に是非にと願うように皆さんに飲んでいただきたいと思う煎茶です。お茶通の方に「煎茶のダージリン!」と言わしめたこのお茶は、私の煎茶の概念を覆してくれました。お茶にこんな振り幅があるなんて心からの驚きです。立地や天候、土壌や製法、ちょっとした条件や環境が同じお茶の個性にも大きく影響すると改めて思い知った私です。岩崎功商店さまには、この他にもなかなかお目にかかれないような美味しいお茶がたくさんあります。これも岩崎功商店さまの長年の努力と、受け継がれできたであろう穏やかなお人柄によるところなんだと思う次第です。
なるほど。ここ最近静岡に来ることが増えたとはいえ、まだ静岡が足りていないんだな。岩崎功商店の岩崎さん親子と私は、似ても似つかないほどかけ離れた条件や環境下で過ごしているんだな。
でもいいのです。梅ヶ島の手摘み煎茶を美味しく思えるのは、おんなじ。おんなじ。
鈴の茶より、感謝を込めて。