三代で
守り抜く、
高千穂の
茶づくり。
どうか対向車が来ませんように!と願ってしまうような、細くうねった道を登っていくと、広がる茶畑の雄大さに驚きます。ちょうど陽が沈みかけた夕方の空は、お茶の葉をまろやかなオレンジ色に染めて、一瞬でノスタルジアに包まれる…。
突然の訪問にも関わらず、香炉からほのかに炊かれる茶葉の香りとともに、笑顔で出迎えてくださった奥様。丁寧に淹れていただいた高千穂烏龍を堪能します。3代目となる甲斐雅也さんと奥様、先代ご夫妻で力を合わせ、高千穂のお茶作りを守り続けている甲斐製茶園さん。定番である高千穂の釜炒り茶はもちろんながら、雅也さんの代から生産を始められた高千穂烏龍は、和烏龍茶ならではの甘味と、どこか緑茶のような透き通った味わいのケミストリーが素晴らしい逸品です。研究に10年以上も費やされたという努力の積み重ねが実り、日本茶AWARD2022の烏龍茶部門で、最上位となるプラチナ賞を受賞されています。
日没が迫り、運転に自信のない私たちは慌てて帰路につくことに。最後に、段々と伸びてゆく520アールもの茶畑をバックに、雅也さんご夫妻の写真を撮らせていただきました。長年、看護師をしながらお茶作りを支えてきた奥様の未来さんは、数年前に看護師の仕事を退職。ご夫婦ふたり、作り手が減っていくばかりだという高千穂の茶作りを担っていきます。次回はゆっくりとお話に花を咲かせたいな。
鈴の茶より、感謝を込めて。