ご縁が紡ぐ、
やさしさの世羅ほうじ。
鈴の茶の販売をスタートさせた時、いつか私の生まれ故郷広島のお茶を商品にして、沢山の人に知ってもらいたいと思っていました。その「いつか」は、意外にも早く実現することに。
広島のお茶といえば、「世羅茶」が広島のブランド茶として知られています。
とある会合で世羅町でワインを作られている“せらワイナリー”の方に出会い、「これは!」と思いお声がけをして、世羅茶再生部会の代表 戸田雅伸さんを紹介して頂きました。(せらワイナリーさんも本当に素敵なところです。その話はまた別のコラムで。)
戸田さんはもともと別の場所でキャリアを積んでいらっしゃったのですが、生まれ育った里山の茶畑の美しさ魅了され、飲み継がれた地元のお茶を残していくためにも仕事を辞めて、世羅茶再生部会を立ち上げられたそうです。
お茶作りの勉強にあちこちに出向かれ、製茶用の大型な機械の手配や工場の場所の確保など、並々ならぬ努力をされ、地域の茶畑の再生や茶園管理・製造・販売までされる様になっていらっしゃいます。
今では、広島の老舗ホテルのアフタヌーンティーの原料を任されたり、老舗パン屋さんや道の駅などで人気商品を卸されており、世羅茶の名前を広く知られることに貢献されています。そんなお話を聞かせていただきながら、世羅町のあちこちを案内して頂きました。
世羅はなだらかな斜面か続く高原で、果物や花などの農作物が有名です。高い山など視界を遮るものがない高原なので、里山の上に広がる空が大きく「世羅の夕焼けはすっごい綺麗ですよ。」と写真をみせて頂きました。
その写真がまた上手でびっくり。お話をするたびに戸田さんの引き出しの多さに驚きます。
研究熱心で人のために何かしようとされるお人柄が、さらに素敵な出会いに繋がって、みんなが喜ぶ結果になる不思議な力をもっていらっしゃる気がしてなりません。
戸田さんは、農薬・化学肥料は使わず、里山から流れ出た栄養で育つ牡蠣殻や海藻を、肥料にして里山に戻す循環型農業をされています。
そのきっかけも、戸田さんのお人柄がつないだものです。
海藻の肥料化は、厳島神社の管絃祭前に行う清掃作業のお手伝いで、
除去した海藻のやり場に困っている事を知り、茶園で試験したところ美味しいお茶ができた事で始まりました。
また、牡蠣殻は、落とし物のお財布を届けた先が牡蠣打ちをされている漁協の方で、
捨てられる牡蠣殻の山があることを聞いて土壌改良に利用したそうです。
ほんとうに戸田さんの人間力はすばらしいです。
戸田さんのつくるお茶は、飲み疲れしない、生活に溶け込む優しい滋味です。
お湯で淹れても、水出しにしても、後口が良くホッとします。
戸田さんの努力とお人柄で仕上がった広島のブランド茶「世羅茶」を沢山の人に飲んでもらえたらいいなと心から思います。
鈴の茶より、感謝を込めて。