広島にも、
誇れるお茶があるから。
はじめての茶畑や茶工場を見せていただくのは、ワクワクして大好きです。
それでも、はじめましての生産者さんにお会いするのは緊張するし、前日からソワソワします。
不慣れな車の運転で、のどかな里山の風景を楽しむ余裕もなく、緊張と不安でハンドルを握り締めながら向かうと、木造の学校のような建物が見えてきました。
「絶対、あそこだ!」と根拠のない確信をもちながら車を降りると、Teto teto代表の延原真由子さんが温かい笑顔で出迎えてくださいました。
この木造校舎は、廃校になった三次市立上田小学校で、現在は「ほしはら山のがっこう」として里山の体験ができる施設です。
その一角の元給食施設をリノベーションした加工所などを拠点として、Teto tetoさんが活動されています。
代表の延原真由子さんは、地域や自然、生き物への愛情にあふれる方。
「子育てを田舎でしたい!」と他県から移住されたと知り、驚きました。
地元に溶け込みながら生活される中で、上田町で長年親しまれてきた“はぶそう茶”や“お茶”を作る人がいなくなるかもしれない状況を知り、なんとか未来に繋げたいと活動を始められたそうです。
地元で長年お茶を作られてきた貞野さんご夫婦と共に、茶畑や製茶を学びながら取り組まれています。
山あいにある茶畑は、
やわらかな日差しを受ける気持ちの良い場所でした。
丁寧に栽培されているとわかる茶畑では、
「ほしはら山のがっこう」を利用し、茶摘み体験など地元の方々が参加できるイベントも企画されているそうです。
「さだのさぁ〜ん。工場見せてくださいねー。」
と延原さんが声をかけ、製茶工場を見せていただくことに。
隅々まで手入れの行き届いた工場は、
道具や機械が今にも動き出しそうなほど息づいていて、その時間を一緒に受け継いでいるのだと感じました。
移住された延原さんが、地元の方との絆を結び、広島のお茶を未来に繋げようとしてくれる姿に、
広島出身の私は、私のできることを頑張りたいと強く思うのです。
「広島でお茶が作られとるのを知らんかったわぁ。」とよく言われます。
時代の流れとともに淘汰されていく作物もある中で、まだ知られていないけれど、
洗練され過ぎていない、個性豊かな滋味を持つお茶はたくさんあります。
広島のお茶を、延原さんや貞野さんと共に未来へ届けたい。
そう強く思わせていただきました。
鈴の茶より、感謝を込めて。