金方堂松本工業株式会社さま

大切なものは、
いつも缶の中。

お小遣いや友達と交換して集めたシール。捨てられない手紙や写真。片付ける場所が見つからないお気に入りのキーホルダーや可愛いクリップ。私にとって大切なものをしまう場所は、いつも頂き物のちょっと高級な可愛いクッキー缶の中でした。鍵をかけて隠さなくてはならないほどのものではないけど、大切で大事にとっておきたいものを素敵な缶の中にしまうと、どこか特別に守られているような気がして安心します。

日本茶が好きになりお茶を集めていると、沢山のお茶の入れ物に出会います。真鍮製、銅製、木製、紙製、プラスッチック製など色々な素材の物がありますし、袋状、箱状、筒上の表面に紙を巻いたものや、職人さんによって彫られたものなど個性豊かな茶の入れ物にあちこちで出会います。とはいえ、茶葉はその性質上、湿気や高温、光を嫌うのでどんな入れ物でも良いというわけではありません。そこで私が選ぶ入れ物といえば…「缶」一択です。大切なものは、いつも缶の中にしまうのですから。

鈴の茶のコンセプトは、こだわりの日本茶を素敵なパッケージでお客様に届けて、沢山の人をハッピーにすること。そのためには缶のデザインも鈴の茶らしいものにしなくてはなりません。既製のものではなく、鈴の茶らしい缶にするにはオリジナルで作るしかないのですが、鈴の茶のように駆け出しの小さな会社が作るにはハードルも高く、缶を作ってくれる会社を探すのも一苦労でした。紆余曲折を経て金方堂さんを知り、にこやかに、細かな質問にも迅速に回答してくださる担当の永嶋国浩様に初めてお目にかかった時には、やっと私の好きな缶を作ってくれるところに辿り着いたと本当に嬉しかったです。

そこから、缶やパッケージのデザインを進めていくのですが、その話はまた別の機会にご紹介させて頂くとして…。鈴の茶が思い描く缶を実際に作り上げていく作業は、初めてのことばかりで驚きと感動でとても楽しかったです。まず、デザインした際に決めた缶の色を実際のインクや版を使って作ってもらいます。鈴の茶の缶の色がすべて特色なので、数色のインクを職人さんが混ぜ合わせて作ってくれるのですが、板の上で迷いなくインクを選んでは混ぜて理想の色に近づけていく様子はまるで鮮やかな魔法のようでした。使い込まれた道具や、何層にもなった飛び散ったインクの跡に職人さんの歴史を感じ、出来上がっていく鈴の茶カラーがますます愛おしくなりました。

その後、印刷会社で調整した色を缶になる板の上に乗せて量産していきます。その際にも最終的な色の調整やズレなどを確認していくのですが、ここの職人さんもまた素晴らしかったです。もう少しトーンを上げたい、下げたいなどの希望のニュアンスを汲み取って絶妙な塩梅で実際に缶になる板に乗せてくださいました。
 それから、その板を別の工場にて缶に仕上げてもらいます。鈴の茶のデザインは八角缶の面ごとに色を切り替えているため、折り曲げる際に色がズレるなど調整が難しく何度も試作を重ねていただき、ようやく販売開始直前に出来上がりました。オフィスに3色の缶が納品された時には、それはもう嬉しくて、何度も蓋を開けたり閉めたりしてニンマリしたことは言うまでもありません。
 色の発色にこだわるあまりロット数も上がり、金方堂さんから届いたおびただしい数の缶の段ボールに圧倒されつつも、ここに大切な日本茶をしまって、たくさんの人にハッピーを届けられる幸せをかみしめてがんばります。



鈴の茶より、感謝を込めて。

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