丸く、
優しく、
整える。
静岡駅から車で、山の方へ山の方へと進んでいきます。若くして、最高位である十段に到達された茶師の平岡佑太さんと、山あいの大変な茶園管理を担う弟の宏太さん、代表を務めるお父様の陽一さん。互いの仕事を支え合い、認め合いながら、平岡商店さんは玉川の地で積み重ねてきました。
道すがら、まもなく取引先があるドイツとコペンハーゲンに出張に行かれるという佑太さんのお話に、私たちもウキウキとした気持ちになります。数ヶ月前までイタリア・ミラノに住んでいた私は、市内にあるティーショップで平岡商店さんのお茶を見かけたばかり。日本から10000キロ近く離れたイタリアの地で、丁寧に、大切に、お茶好きの元へ届けられていました。私たち、鈴の茶もまだまだこれから、日本茶業界の未来は明るいぞと自信が湧いてきます。
車を降りて、険しい山道を登っていくと、段になって奥まで広がっていく平岡商店さんの茶畑が目前に。弟の宏太さんがまさに茶園管理の真っ最中で、お会いすることができました。冬、茶葉が霜に被らないように設置されている大きな扇風機に、茶摘みの時期に大活躍の運搬用ロープウェイ。知恵を絞りながら形作られてゆく茶畑の風景に、積み重ねてきた年月を想います。そんなことを考えながら、佑太さんが用意してくださった水出しの棒ほうじで一気に涼やかな心地に。が、ブンブンと飛び始めたアブに、情けない私は茶畑の中を逃げ回り…。「私も虫は嫌いですよ」「慣れるまでは僕も同じでした」とどこまでも優しい平岡兄弟さん…。
茶畑を後にし、工場を見学させていただきます。代表を務めるお父様、陽一さんにもお会いすることができました。案内していただいた仕上げ工場は、丁寧に整備され、従業員の皆さんが黙々と作業されていました。皆様のお力のおかげで、私たち鈴の茶もお客様のもとへ最高の商品をお届けすることができます。平岡商店さんの素晴らしいチームワークに、私たちもやる気がみなぎります。
あっという間に時間は過ぎ、日暮れが迫る中、お土産として平岡商店さんの茶葉を使って合組体験をさせていただくことに。5種類の産地・仕上げ方法が異なる茶葉を合組して、100グラムの茶葉に仕上げるというお題で、作業は開始。5種類、それぞれの特徴を掴みながら、合組で自分が目指す理想のお茶に近づけていきます。
合組を終え、試飲してみることに。「お茶は好みですからね」と微笑む佑太さんに、”自分だったらどう組むか”という視点でそれぞれのお茶を添削してもらいました。(何がなんでも勝敗を決めたい浅はかな私たち…)結果、鈴の茶 代表を差し置いて、「このお茶は直すところがないですね。美味しいです」とお墨付きをいただいた私…!この夏1番の歓声を上げてしまいました。
鈴◯。平岡商店さんに作っていただく、鈴の茶のオリジナルブレンドです。佑太さんの、丸く均整の取れたお茶を目指すというモットーからつけられた名前ですが、なんだか平岡商店さんそのものを形容するような、ぴったりなネーミングだったなあと改めて嬉しく思う帰り道でした。
鈴の茶より、感謝を込めて。